春も終わって、夏の気配が強くなって参りました。

更新が捗らない当ブログへ遊びに来て下さってありがとうございます!

またしてもポケノブで一本。
今回は、二兵衛に加えてアオバの心優しい城主であり、軍師でもあるモトナリさんを登場させてみました。
モトナリさんは、元就さんとは随分違うwww
個人的にはポケノブのモトナリさんは大好きなんです。

お時間ある方はどうぞ。

優しいアオバ


春の花々が賑やかに咲き誇る穏やかな昼下がりに、一人の若者は森の中にぽっかりと出来た広場で寝転がっていた。

誰も来ない場所を見つけるのが上手い彼は、相棒のライチュウと一緒に静かな森の空気を感じながら昼寝を堪能していたが、自然のものとは違う音を敏感に聞きつけて片目を開く。

ゆったりとした足音が近づいてきて、おやと驚いたような声が聞こえた。

「昼寝の邪魔をしてしまったかな?ごめんよ」

穏やかでのんびりした口調にハンベエが頭を向けると、広場の入り口にモトナリが立っている。

「ああ、モトナリさん。ココ、誰も知らない場所だったのに、よく見付けましたね」

ハンベエが人懐っこい笑みを見せると、モトナリは恥ずかしそうに頭をかく。

「いやあ、実は道に迷ったみたいで。この辺りに珍しいポケモンがいる、なんて本を読んだらついつい深入りしてしまったみたいなんだ。君が居てくれて良かったよ」

ポケモンに関する研究が何よりも好きな彼らしい、とハンベエは苦笑した。

「それなら、一緒に昼寝していきませんか?急いでも見つかりませんよ」

「君らしいお誘いだ、じゃあ遠慮なく付き合おうかな」

ハンベエの隣に腰を下ろし、相棒のジャローダに遊んでおいでと優しく語りかけるモトナリは、カンベエとばかり組んでいるハンベエには新鮮に見える。

「ハンベエ殿の昼寝には、カンベエ君は居ないんだね」

「・・・カンベエ、君??」

モトナリのカンベエに対するフランクさに若者が驚くと、彼は穏やかに笑った。

「彼はね、時々僕の所に来るんだよ。聞いてないかい?」

首を横に振ると、そうかいとモトナリはあっさりした様子で寝転ぶ。

「僕も彼の蔵書を借りに行くときもあるしね。闇属性のポケモンの資料は凄いよ、あと・・・ふふ、そうか」

「?何ですか?その笑い」

青空へ目線を向けたまま、モトナリは口元に微笑を浮かべて、ハンベエに解るかい、と問う。

「彼のバディに対する愛情はね、もしかしたら誰よりも深いかも知れないって事を」

モトナリの言うとおり、カンベエは人には冷たいがポケモン達には優しい。

だから彼のポケモン達はリンクが高く、よきバディとして活躍してくれている事をハンベエも感じていた。

「モトナリさんにそう評価されるなんて、カンベエどのも隅に置けないや」

「僕はまだまだ付き合いが短いから、君にそう言われると困ってしまうな。それにハンベエ殿のライチュウだって、ピチューの時から大事に付き合ってきたのが解るよ」

モトナリに興味津々で近寄ってきたライチュウの頭を人差し指で撫でながら、彼は我がことのように嬉しそうに誉める。

「ありがとうございます!でも、ちょっと甘やかしちゃったみたいで、ピカチュウの時からなんか丸くなった気が・・・」

うつ伏せになって嫌がるライチュウの脇腹をつつくハンベエに、モトナリは声を上げて笑った。

「ははは、大丈夫だよ。この子は成長すると、こういう体系になる種類だから。疑ったら可哀想だ」

おでぶ疑惑を解決してくれたモトナリの鼻先に、ライチュウは嬉しそうにキスをする。

「やあ、感情が豊かな子だね。嬉しいな」

「良いなぁ・・・ライチュウ、オレにも!」

自分のバディに向かって顔を突き出したハンベエだか、ライチュウはツンと横を向いて知らんぷりを決め込んだ様子だ。

「何だよ・・・おでぶ疑惑をかけた事、怒ってるの?」

ゴメンゴメンと謝るハンベエに、暫くソッポを向いていたライチュウだったが、つと近寄ると彼の頬に頬ずりして、モトナリのジャローダの元へ走って行った。

「オレのライチュウ、カンベエどの以外のブショーにはあそこまで懐かないんです。やっぱり凄いや、モトナリさん」

モトナリはいやいやと手を振る。

「人とおんなじだよ。大事にすれば応えてくれる、それを忘れなければポケモン達と人はもっと理解しあえると思っているんだ、僕は」

「・・・その言葉、カンベエどのに言ってやろうかな」

人嫌いも随分なのだとハンベエが話すと、モトナリはふと笑みを消した。

「案外、それを君に助けて貰うことが彼にとって良いのかも知れないよ?」

「オレが、助ける?」

「二兵衛とは良くも呼ばれたものだと、僕は君達をみる度に思うんだ。確かにカンベエ君は人嫌いな所があるけど、人付き合いが上手いハンベエ殿が居るから軍師の一人として立っているし、君は・・・違っていたらごめんね、才があるからこそ疲れてしまう心を、寡黙なカンベエ君と居るから中和出来ているように見えているよ」

いつも穏やかな雰囲気を崩すことなく、アオバ国を治めるこのブショーは、ヒデヨシ軍の軍師二人にまで優しい目を向けていてくれたらしい。

「それにね、カンベエ君の本棚には電気属性のポケモンの資料もいっぱいあること、知らなかったかい?」

悪戯げな笑いをこぼしながら、モトナリは意外な言葉を口にした。

いつも潜り込む書斎の棚に、そんな秘密があったことなど知らなかったハンベエは目を丸くする。

「え・・・?!」

「ああ、この話はカンベエ君には秘密。彼、ハンベエ殿にばれるのが恥ずかしいみたいだから」

人差し指を唇にあて、ウィンクしたモトナリ。

「彼にある、そういう優しさを一番に知っているのはハンベエ殿だろうから、僕からのカンベエ君情報はここまでかな」

彼のシャンデラは綺麗だよねとモトナリは言いながら、寝転がって青空を見上げている。

しかしハンベエは、自分の知らないカンベエの話に内心驚いてしまい、ただモトナリの横顔を見つめていた。


夜になり、陣営に戻ってきたハンベエはカンベエの部屋を訪ねた。

ランプラーやシャンデラの静かな灯りに囲まれたカンベエの部屋は、質素な調度品しか置いていないのに何とも幻想的な雰囲気につつまれている。

ポケモン達に挨拶をしながら、ハンベエは長椅子に腰掛けるカンベエの隣に座った。

日中に着ている長い黒ローブを脱ぎ、装飾品を外したカンベエは随分感じが変わって見える。

「今日さ、モトナリさんに会ったよ」

甘えるように己の肩に頭を預けてきた親友に構わず、カンベエは片眉をあげた。

「ほう、モトナリ殿に。ブショーらしくない御仁だったろう」

「うん。オレのライチュウが懐いて離れなかった」

そうか、と呟く相手の手元を覗き込んで、分厚い本の文字を一緒に辿ってみる。

「また新しい本?よく読むねぇ」

「そのモトナリ殿から借りた本だ。属性の相互関係が詳しく書いてある」

ふうん、と気のない返事をしながら近寄ってきたランプラーの頭をなでるハンベエ。

「あのさ、カンベエどの」

相手の思いついたような声に、本から一瞬目を離して何だとカンベエは問う。

「モトナリどのは、カンベエどのの事を『カンベエ君』て呼んでたけど?」

その言葉に、親友はちょっと嫌な顔をしながら、また本へと目線を戻した。

「・・・ああ。大した問題ではない」

「じゃあオレがカンベエ君、て呼んでも良い?」

今度はカンベエ、盛大に不機嫌な顔を上げる。

「つまらぬ張り合いをするな。お前にそう呼ばれたら、私はお前を二度と此処へは入れん」

「何でさ、オレだってカンベエどのより年上なのに!」

「問題は年齢ではない、それぞれの立場と様子から成り立つ話だ」

しごく冷静にあしらわれ、面白くなさそうに自分を見つめるハンベエに、カンベエは溜息をつく。

「ハンベエ、子供のような駄々をこねる理由は何だ?」

「別に駄々なんてこねちゃいないよ。ただちょっとさー、良いなあって」

何が羨ましいのかが解らないカンベエは、軽く眉をひそめて読みかけの本に栞を挟んだ。

「何が良いのだ?モトナリ殿が私を『君』と呼べばお前よりも勝っているのか?『どの』と呼ぶお前は劣っているのか」

ずばり真っ直ぐに問いを投げかける親友へ、ハンベエは更に膨れっ面を作って眉根に皺を寄せる。

「おれが劣る訳がないじゃん。そんな事じゃなくって・・・」

ハンベエから視線を外し、長椅子の肘掛けに腕を預け、こめかみの辺りに中指をあてて不可解そうな表情でカンベエは考え事をするかのように宙を見つめた。

「・・・あのさ、本当にわからないの?」

カンベエの難しそうな横顔にハンベエが呆れたような声を出すと、相手は片眉を上げて視線をこちらに戻す。

「何をだ」

このトウヘンボク、と心中で悪態をついて、ハンベエは長椅子から立ち上がった。

「鉄面皮の誰かさんが、他国の有能な軍師どのから親しげに呼びかけられているのに嫌がりもしない事へ嫉妬してる同僚の軍師がひとり、居るんですけどッ?!」

「・・・嫉妬・・・?」

僅かに口を開き、目を見開いたカンベエに構わず、ハンベエは言葉を続ける。

「前から言ってるでしょ、おれはカンベエどのが大好きだって!いつだっておれは、カンベエさんの・・・一番の相棒で居たいから、だから」

「今更な事を言うな、ハンベエ」

言葉に熱が籠りはじめたハンベエを冷ますような響きのカンベエの声。

「下らぬことを。私の相棒は、他に居るはずもあるまい」

妙に機嫌の悪そうなカンベエの話しぶりに、今度はハンベエが小首を傾げる。

「なんか・・・怒ってる?カンベエどの」

「当たり前だ」

顔色の悪い軍師は、足を組み腕組みをして傍らに立ったままのハンベエを見据えた。

「つまらぬ感情に囚われて、お前自身の才を霞ませるな。共に戦い、歩む軍師はハンベエ、お前と私は決めている」

そう言ったあとで、カンベエは照れたように視線を下へ落とす。

「・・・私につまらぬ事を言わせるな」

今までに聞いたことも無かった親友の言葉に、ハンベエは絶句しながらも己の耳が熱くなってきたことを感じる。

彼の書斎にあると教えて貰った電気関係のポケモンの蔵書は、此処に来る前にこっそり確認してきた。

ひっそりと、人目に付きにくい場所にまとめられていた書籍は、確かにハンベエと相性のよいポケモン達の資料である。

森の中でモトナリが自分に向けた笑みの意味に気付いたハンベエの胸が、大きく跳ねた。

「・・・あの時のバディって、ポケモンの事じゃなかったんだ・・・」

ぽつんと呟いた親友の言葉に、カンベエが顔を上げる。

「あの時?」

そんな彼に、ハンベエは緩く笑って首を振った。

「なんでもない。・・・ありがと、カンベエどの」

感謝の言葉を渡されても、嬉しくなさそうな顔で親友は鼻を鳴らす。

「駄々は直ったか」

「まあね」

にこにこしながら隣に座りなおしたハンベエに目もくれず、カンベエは先程まで読んでいた本を再度手に取った。

長い指が栞を挟んだ頁を探す様子を、頬杖をつきつつ横で眺めながら、ハンベエは含み笑いを交えた声で語りかける。

「そういえばさ、モトナリどのが褒めてたよ」

「褒めていた・・・?」

栞の場所を探し当て、読書の続きを始めようとしたカンベエの指先が一瞬止まった。

「カンベエどののシャンデラはとっても綺麗だって。愛情を注いでるんだろうねって」

「!?」

本人にとっては予想外の褒め言葉だったらしい、物凄い勢いで開いていた本を閉じてしまう。

「!しまった・・・」

「あーあ、栞取っちゃってたのに」

他人事のような声を出したハンベエを、カンベエは横目で睨んだ。

「お前は」

その目線を、親友は悪戯げな目つきで返す。

「油断してるからさ」

悪びれもしないハンベエの物言いに、カンベエは小さく溜息をつくと、喉の奥で低く笑った。

「ああ、そうだな」

座りなおして本を再度開こうとするカンベエに、ハンベエは寄りかかる。

「頁、教えてあげようか?」

「お前に言われずとも覚えている」

淡々と言葉を返し、頁をめくり始める親友を、ハンベエは楽しげに見つめていた。

夜が更けるに従い、一つ一つブショー達の部屋の明かりが減って行くなか、いつまでもシャンデラの灯りが消えない部屋がひとつあることを、散歩に抜け出したアオバ城主は遠目から優しい視線で見上げていた。




(終わり)





 

 

 

 



ポケノブのモトナリさんは、某英雄アクションと違って、とっても穏やかで優しいブショーさんです。国取りより、ポケモンの研究してる方がいいのに、なんてのんびり言っちゃう所が良い。

城主というより、軍師のような物言いが多い人なので、軍師同士で仲良かったら良いなーと思って書いていたら、戦国無双でホントに仲良くなってたのね・・・という。

此処では戦国無双では無く、ポケノブの世界で書いていきます、ひたすらに。

だってポケノブのカンベエさんのびっくり顔が可愛すぎてちょっと!!状態で止められませんのよ・・・